喜代元の命名は日高誠実翁
(雑誌OSSAに掲載された記事の一部/館主へのインタビュー、より)
「私が宿を継いだのが5年前。この時“家と宿の歴史”を調べてみたら“喜代元”ってのは、
梅が瀬渓谷の奥で私塾を開いていた漢学者の日高誠実先生の命名だったのです。
深い渓谷の底に湧く源泉を、毎日の暮しに使ってきた当館初代の義雄じいさんは、
日高先生の屋敷まで通って学問を教わりました。
その縁で先生は『将来傷や病を治したり、心癒したりする温泉の効用が広まり、
この温泉に浴する人々が喜び合うときがくるように』と、喜代元という屋号を
付けてくださったんだそうです。あふれるほど湧き出ているこの源泉を、
温泉宿としてお客さんに提供したのが父の代からです……」
(記事の一部より)
すぐ下を流れる養老川の瀬音と、見上げる山峡を渡る風の音で、四季の美しさを実感できます。
清潔な湯船にひたり窓を開けば、春は対岸の山桜の花びらが風に舞い飛んできます。
ヨード分をたっぷりと含んだ“黒湯”(コーヒー色をしているので地元ではこう呼んでます)に浮く
山桜の花びらは、何ともいえない風情があります。
「父は、この湯と日高先生の教えを大事にしながら、湯も宿も“ぬくもりのあるもの” にしようと、
日本の優れた木材を宿の造作に使ったそうです。
私は“ゆっくりしていらっしゃい”を宿に携る者みんなの合言葉にし、よく温まり肌が
すべすべになる湯に、何回も入りに来て欲しいと呼びかけています」